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2011年12月03日(土)

2011年11月(2) 淡座旗揚げ公演 [レポート]

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11月28日には20日の宇都宮公演に引き続いて、東京の紀尾井ホールにて淡座の旗揚げ公演が行われた。噺と現代音楽の組み合わせなんて、どう想像していいか分からないというのが正直なところかもしれないが、絶妙なバランス感覚に支えられた面白い空間が生まれていた気がする。お客様も200名ほどと盛況で、公演後表情明るく帰られる方も多かったように思うのは多少ひいき目(関係者/お手伝いだったので)は有るにしろ、はたしてそれだけだろうかと思わずにはいられない。

噺の持つユーモアと霧のような現代音楽の組み合わせで、互いの良い部分が影響しあう瞬間の多い公演だったと思う。

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さて、11月中には《フロリゲン・ユニット》のリハーサルで横浜市の若葉台を訪れた。森林公園に巨大な住宅が建ち並ぶようなイメージで、新潟にはない不思議な場所だと思った。住民同士のコミュニティもしっかりして、お互い仲も良いという。また、音楽を愛好している方も多いという事だった。実際、中心部にあるモールでは路上で音楽の演奏なども聴かれたが、とてもヨーロッパ的な感じで演奏されており、空間に無理がなかった。高齢者は比較的多く見られ、ひょっとしたら地区全体の高齢化は進んでいるのかもしれない。ただ、ここがひとつの理想郷として計画された土地だったように感じたし、実際に培われてきたコミュニティも結果的に悪いものではないような気がした事、そして、なぜこのように強く心に迫ってくるものをいま持っている土地なのかを時々考える。

淡座のリハーサルでは仙川に何度か足を運んだ。ここもまた違った土地の空気を持っていた。駅周辺はスーパーや喫茶店などコンパクトにまとまっている、道の幅やお店の種類などはその土地に暮らす人たちの「暮らしの手癖」のようなものなのかもしれない、その間合いから何となく一瞬で伝わってくるニュアンスは感じられるからだ。
仙川に関しては最初に訪れた時に感じたものは2回目ではやや薄れた気もした。

つまり、こうした感覚はその土地そのものに留まっているものではないとも言えそうだ。自らの内に平均化されているビジョンからどれだけ異なるかという、差異の大きさによって立ち現れる一種の幻かもしれないからだ。

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エレクトロニクスに対して
淡座の公演で作曲家の桑原ゆうさんからの要求は、生音とコンピュータからの音の境目が見えない地点を目指してほしいということだった。そこで紀尾井ホールではステージ奥に小さなモノラルスピーカを一台設置した。音量のバランスは生音と対等か時には生音より小さい音量も使用した。
技術的にはここでは意識的な「フェイク/騙し」が目指されている。リアルタイムサンプリングは行わず、あらかじめ用意された音のみを使用した。再生箇所は楽譜で指示されているので即興的な要素はほとんどない。

手段としてはこれ以上無いくらいに明確である。にも関わらず、本来異質であるはずの生音とスピーカからの音の差異が極めて曖昧になったときに、聴覚的な倒錯がおこる。一瞬どちらか分からない、という瞬間が聴き手にとってはおそらく一番落ち着かない気持にさせる要素になるだろう。

桑原ゆうさんはそれを「あわい」と言って目指していた。こういう形でエレクトロニクスを使用する作曲家も珍しいかもしれないなと思う。

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今回の公演を通して落語の「芝浜」を3回聞いたことになる。3回とも全く違う間合いだった。どれも最後には涙を誘う名演だった。紀尾井ホールでの「芝浜」が一番間合いの長いものだったと感じた。噺のこうした流動性に対して、固定化された楽譜のみで今後も対処していくのか、あるいは、違う発想からなる構造的解決策を練るかは、作曲家はじめ淡座の今後の課題なのかもしれないが とにかく次回もどんなものを見せてくれるのか今から楽しみにさせる旗揚げ公演だったと思う。

お疲れさまでした。

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淡座は古今亭志ん輔師匠のお誘いで、来年3月4月に師匠の独演会に参加されるそうだ。世代を超えてこうした繋がりが生まれている事は傍目にもとてもうれしいし、励まされることだ。
そこでの演目が「真景累ケ淵」で、それは「村上春樹さんという作家さんが一番の物語として紹介されているそうで、、」という師匠の解説を聞いてからは頭の中で濱地潤一さんが浮かんでいる。

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打ち上げで、本條秀慈郎さんの三味線の原点がもともとエレキギターだったことは興味深かった。
チェロの藤井泉さんは普段はドイツの静かな土地で音楽に向かい合っているという。「東京はたまにはいいんですけどね。」という言葉が染みた。
デザイナーの川村祐介さんは音楽もされている、いつかそのトランペットを生で聴いてみたい。
ヴァイオリンの三瀬俊吾さんは新宿で良く飲んでいるそうだ。この日は3次会までつき合わせてもらった(始発のバスまで時間があったから)。「新宿にはこうしたコミュニティがあります。」3軒目のお店で、たしかそう紹介してくれていた。




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Posted by shimaf at 01時44分   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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