2008年11月12日(水)
みみづアンソロジー・シリーズについて。 [CDR系]
今年も例年並みに時間が経つのが早いです。
もうだいぶ前になってしまいますが、2008年8月末のLive Electronics In Niigata vol.5 にあわせて みみづ として久しぶりのCDRを作りました。
ライブ会場で限定で置いていたもの以外で公式に発表したものとしては、2作目になります。
みみづ [CDR]
『アンソロジー 2003-2004』
(↑クリックでBOOK OF DAYSさんのページへ飛びます。)
です。2作目でいきなりアンソロジーというのもなんだか大変申し訳ない話なのですが、それでもここにはみみづ3人にとっての共通見解が反映しているのは事実で、少しそのことを以下に書かせていただけたらと思っています。
今回ここに納められた音源は3人がみみづとして最も初期に活動していた頃のものです。曲目(日時&会場)のデータは過去の日記へ。ー>※
初期のライブは鈴木さんのDATテープレコーダーをつかって録音していたものが多いです。その関係で会場の人の声や響きの特徴がとらえられているものも多く、多彩な表情になりました。一方で、2004年の後半からのライブの録音は、ほとんどPC内での録音がメインになっているので、こちらの音質は良くなっています。その後はDAT等でのエアーの録音はほとんど行われなくなっているのは少し寂しいですが、今回のアンソロジーでは結果的にほとんどがエアーでの録音になりました。IAMAS工房内でのリヴァーブの深い空間内での練習の様子、東京のクラブでの独特の空気と若者のざわつき、京都の神社(野外)での虫の声と玉砂利の音等々。。音質のばらつきなどはメンバーで音質調整の努力は最大限したのですが、ご了承いただければと思います。
今回のCDRでは5曲目
05:May.09,2004 Live @ Canolfan (NAGOYA)
はPC内録音になっているために、音の素材そのものはクリアーです。しかし、これはライブの記録としては生音との音量バランスが崩れているという意味において不完全なものとなっています。
この(ライブ音源としての)不完全さをどう考えるかは様々な意見があると思われますが、このアンソロジーシリーズにおいては「ライブ音源集」という位置づけを強調することにはあまり積極的ではありません。
結局、残っている録音を一から音素材としてとらえ、再構成していこうという部分が大きくなりました。
みみづは、ライブは毎回真剣にやっていますが、ライブ後の手応えという部分において長い間その満足度を高めることに苦心していました。どの瞬間が面白いのか、今回のセッションは成功だったのかどうか、本番にどれだけのことが見せられていたのか。
「扱っている音の善し悪しの最終判断を決めずに本番に臨む」というと無責任に聞こえるかもしれませんが、本番で想定外の音響にたどり着いたときのほうが満足度は高いことを考えると、みみづのセッションは構造的にもともと悩める構造だとも言えるかもしれませんし、結局いつも悩みはつきません。
ライブ後、録音をメンバーで聴きかえしてみてもそれをどう判断するかでかなり苦しむことは頻繁にありました。実際に演奏していたときの記憶が作用して客観的に聴けていないと感じることもしばしばありました。
しかし、いつの間にか時間も経ち、4年以上前の録音となるとその当時の心理からはずいぶん遠くなるので、かなりの客観性を獲得することができます。どうやってこの音響を作り出したのか、そういう思い出や記憶は薄れていく分、いっそう素直に音そのものを判断することができると考えました。もちろん判断しているのは2008年の僕らの基準なので、当時良いと感じたものを必ずしも良いとは思わなかったり、その逆があったりもします。
いわば、純粋に音響そのものとなった対象に対して今何を選び出そうと考えるのか、何を面白いと思っているのか、現在があるから見直せる過去があったりします。そういった興味によってこのアンソロジーは構成されました。
(余談ですが、日常生活と記録に対して『アーカイ美味んぐ』の方々は長い間興味深い活動を続けられています。)
膨大な録音、記録とどう向き合っていくか、そうしたことは今後も、一昔では考えられないほど多様化し深化もしていくと考えられます。リアルタイムセッションをずっと考えてきた みみづ なりのノンリニアな編集と、そうした態度を考えた場合に、自分達の過去音源を再構成していくこのアンソロジーシリーズは一つの糸口になりそうです。今後も続けていく意義があるように感じています、続きの報告はまた後日ということにして、、
長々とすいません、ありがとうございました。
Posted by shimaf at 17時18分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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